相続税対策で不動産は借金をして購入するべき?

相続税対策で不動産は借金をして購入するべき?

相続税対策として不動産はローン(借金)で購入するほうが、相続税を軽減できて得をするといわれています。果たして、借金での不動産購入は本当に相続税対策として効果があるのでしょうか。

■借金をしなくても不動産の購入で不動産評価額は減らせる

現金がなく担保余力のある広い土地や賃貸物件を持っている場合、土地を貸したり、土地に賃貸物件を建てたりして評価額を下げたり、土地や不動産物件を担保に借入をすることで、全体の評価額を下げる等の方法があります。しかし、リスクがともなう借入をしない相続対策がないか検討することも大切です。

相続税の評価額の算定は、1億円の現金を持っていた場合、そのまま1億円が評価額となります。不動産として土地を購入すると、路線価で評価されますので、約8000万円の評価となり、相続税対策として2000万円程度評価額を減らせます。

では、借金をして購入するとどうなるのでしょうか。相続税は現金や有価証券、不動産といったプラスの財産から、借金などの債務のマイナスの財産が控除して算定されます。借金が多ければ相続税の負担を減らせるとして、相続税対策として借金をすることをすすめる専門家もいるのです。

借金をして不動産を購入した場合、現金1億円と借り入れた1億円で買った土地、合計2億円がプラスの資産となりますが、借金の1億円がマイナスの資産ですので、実質的な資産は1億円です。相続税の算定では、プラスの財産の現金の1億円とマイナスの財産の借金の1億円を相殺すると、1億円の土地に対する評価の約8000万円が評価額です。

借金をしてもしなくても、相続税対策としては評価額が2000万円下がった状況は同じです。むしろ、相続税対策のために1億円を借り入れると、金利負担分が損という形になります。

■相続税対策で借金をして不動産を購入するメリットは?

しかし、相続税対策で借金をして不動産を購入することに、全くメリットがないわけではありません。借金をすることで手元に現金を残すことができますので、万が一急に大金が必要となったときに安心です。また、納税資金を確保しておくという面でも有効です。不動産購入の場合、比較的低金利で借り入れを行なうことができることもメリットの一つです。

相続税対策として借金をして不動産を購入するべきか、手持ちの現金での購入の方がよいかは、個々の資産状況によって異なります。相続税対策として不動産を購入する前に、専門家に相談するとよいでしょう。