相続税対策で不動産管理会社を設立して、家族や親族などの相続人に収益の移転が図られることがあります。相続財産を有利にするための出資者や役員報酬の決め方のポイントをまとめてみました。
■オーナー以外を出資者や代表取締役に
相続税対策での不動産管理会社の設立は、家賃収入によってオーナーが蓄財をし、相続財産が増えることを防ぐことが目的です。オーナーは出資者とせず、妻や子などの家族などの相続人が出資者となるようにしましょう。また、オーナーを代表取締役とすると、他の取締役よりも高額な報酬を支払う必要が出てくるため不適任ですので、他の家族や親族から専任します。
■役員報酬の決め方とは
役員報酬は決算期の始まりから3カ月以内しか変更することができず、事前に決められた額の支払いが原則です。期首に1年間の収益を予測して、役員報酬を決める必要があります。会社の収益と役員の職務内容が、役員報酬を決めるうえでの判断基準になります。
役員報酬は代表取締役を最も多い額とし、その他の役員は収入の少ない人に多く支給すると、節税効果が高いです。役員報酬は他の給与所得や事業所得などと合算され、超過累進課税となっているため、収入の高い人ほど高い税率が課されます。
ただし、未成年の子供への役員報酬の支払いは、職務を持って遂行しているかが問題となりやすく、税務署から親の所得の付け替えとみなされる恐れがあり、好ましくありません。また、役員としての業務を全く行っていない人への支給も問題視される可能性があります。病気療養中の人や管理する収益不動産から遠く離れた場所に住んでいる人など、管理業務にあたることが難しい人に対して、高額の報酬を支給することは避けるようにしましょう。
相続人の構成や収入によって、有利となる役員報酬の決め方は変わってきます。不動産管理会社の設立による相続税対策で、役員報酬の支給を巡って、税務署から否認される事態を防ぐためにも、事前に税理士へ相談しておくことが賢明です。