相続税対策として不動産管理会社を設立する方法がとられることがあります。相続人となる家族や親族が出資して不動産管理会社を経営するもので、「管理料徴収方式」と「サブリース方式」、「不動産所有方式」という管理形態があります。どのような管理形態が適しているかは、物件の特性によって変わります
■空室が多い場合は「管理料徴収方式」
空室が多いアパートやマンションなどの不動産の相続税対策では、所有者は個人オーナーのままとし、5%程度の管理料を不動産管理会社に支払う方式が向いています。空室の多い物件は売却をして他の不動産を購入する方が有利なケースがあります。売却する可能性を考えると、管理料徴収方式が、権利関係が複雑にならず、売却をスムーズに進めやすいです。
■ローンの借入がある場合は「サブリース方式」
銀行などの金融機関からローンを借りている物件は抵当権がついているため、不動産管理会社への売却は難しいです。ローンがある場合には、個人オーナーと不動産管理会社が一括借り上げ契約を締結して賃借人に転貸する、サブリース方式が向いています。管理料として10~20%をとることができますので、管理料徴収方式よりも収益を不動産管理会社に入れることができます。
■借入のない物件は「不動産所有方式」
不動産所有方式は、主に土地を個人オーナーの所有としたまま、建物のみを不動産管理会社へ売却するものです。地代として固定資産税の評価額の2.5%以上を個人オーナーに支払う必要がありますが、賃貸料は全て不動産管理会社に入ります。ローンを完済した不動産や現金で取得した物件に向いています。築年数の経過した不動産では、減価償却費が引かれて簿価が下がっていますので、費用の面からも不動産管理会社所有としやすいです。
実際に不動産管理会社を設立した際には、相続税対策としてどういった管理形態をとることが望ましいかは、資産のポートフォリオにもよります。不動産管理会社の設立を含めて、税理士などのプロに相談して判断しましょう。