相続税対策としてマンションを所有するといっても、一棟マンションを建設するケースと、分譲マンションを区分所有するケースがあります。相続税対策として、どちらが有利なのでしょうか。
■区分所有は空室リスクが大きい
一棟マンションも区分所有マンションも人に貸していれば、相続税の評価額の算定では、土地は貸家建付地評価、建物は貸家としての評価を受けられます。しかし、賃貸割合は実際に賃貸契約が行なわれている割合に基づきます。一棟所有マンションでは、1室程度空室があっても大きく影響はしませんが、区分所有マンションでは、空室時に相続が発生すると、長期的な空室であれば、貸家建付地評価や貸家としての評価が受けられなくなります。
■一棟マンションは大幅なリニューアルが可能
マンションを区分所有した場合、建物が老朽化に備えて、長期修繕計画に基づいて修繕工事が本来行なわれますが、所有者の合意が得られないと適切な時期に工事がされない可能性があります。また、専有部分のリフォームであっても、管理規約によって管理組合への届け出を必要とするケースが多く、床材の変更が認められないこともあります。
一棟マンションであれば、収益を上げるために、適切な時期にスムーズに修繕を進めていくことで、資産価値を維持しやすいです。
■一棟マンションの所有には資金力が必要
一棟マンションを借入をして建設できるのは、土地を所有しているか、頭金として土地と建築費の2割程度用意できることが条件とされています。一般的なサラリーマンでは、一棟マンションを建てることは難しいでしょう。逆をいえば、土地を所有している人の相続税対策として、一棟マンショの建設は向いているといえます。
ただし、一棟マンションの経営には立地の向き不向きがあります。賃貸マンションの需要のないエリアでは、空室率を抑えることが難しいため、所有する土地に一棟マンショを建てることが向かない場合には、土地を買い替えることも検討しましょう。