相続税対策での賃貸マンションを建設したら相続はどうする?

相続税対策での賃貸マンションを建設したら相続はどうする?

相続税対策として所有する土地に賃貸マンションを建設したことで、後々の遺産相続でトラブルになるケースがあります。相続人が複数いる場合、賃貸マンションの土地と建物以外の相続財産がほとんどない場合にはどのような遺産分割の方法があるのでしょうか。

■トラブルになりやすい「共有名義」

賃貸マンションの相続で避けた方がよいとされているのが、複数の相続人での共有です。親子の場合は、やがて子が全てを相続するケースが多く、トラブルにはなりにくいですが、兄弟での共有が上手く行きにくいです。賃貸マンションの経営面では、賃料の値上げや修繕についての取り決めで、相続人間で話合いが一致しないと経営に支障が出るばかりではなく、兄弟間の不仲にもつながります。また、売却をする際にも、相続人全員の合意が必要ですので、売却の是非や売却価格を巡って、調整がなかなかつかないケースもあります。

■「代償分割」は代償金の支払いがネック

相続人のうち1人が賃貸マンションを相続する場合には、代償金として他の相続人に金銭などを支払うことになります。ただし、賃貸マンションの相続による代償金は高額になることが多く、現実的ではないケースが多いです。

故人が遺言書で相続人を指定し、遺留分の支払いのために生命保険金の受取人としておくという方法もあります。

■相続対策の効果が薄れる「換価分割」

賃貸マンションを売却して、売却代金を相続人で分ける方法です。建設した賃貸マンションの築年数や周辺の環境の変化によって、売却価格が期待するほど高くなかった場合、相続対策でマンションを建設した効果が得られず、財産が目減りするケースも多くみられます。また、譲渡益がある場合には、譲渡所得税が発生します。

■「区分登記」で分譲マンションのように区分所有

分譲マンションは区分所有登記ができますが、賃貸マンションとして建てた物件も、区分所有できるように登記を変えることが可能です。構造上独立していること、つまり部屋が壁で仕切られ玄関が一つで独立している等の条件があります。

土地家屋調査士に依頼し、区分登記をすることで相続人全員の共有名義にせず、法定相続分に応じる比率などで個別に登記することができます。相続税対策で、賃貸マンションの一部の区分を生前贈与する、相続税の納税資金として売却するといったことも可能です。

所有する土地に賃貸マンションを建設した場合には、相続人同士でのトラブルを避けるため、遺言書を作成しておくことが望ましいです。