生前贈与で相続税対策をしていても、税務署から過去の贈与は無効という指摘を受けてしまい、失敗する事例がみられます。相続税対策として、1年に110万円ずつの基礎控除額を利用して贈与する方法はよく知られていますが、やり方によっては贈与と認められず、失敗となってしまうのです。
■毎年110万円の贈与での相続税対策の失敗とは
相続税対策として、贈与税の基礎控除額110万円を利用して、毎年贈与を行なうケースがよくみられます。しかし、国税庁によって贈与ではなく名義貸しとみなされてしまうと、税負担が生じてしまい、長年掛けておこなった相続税対策が失敗となります。
相続税対策として失敗となるケースで多いのは、財産をあげる贈与者側が印鑑や通帳を管理していたケースです。毎年、相続税対策として贈与者が銀行へ行って110万円を入金していたのでは、名義貸しとみなされます。贈与とみなされないためには、財産を受け取る受贈者が通帳や印鑑を管理し、受贈者自身が銀行に預け入れに行く必要があります。
■未成年への贈与はどうなる?
未成年者への贈与では、20歳までは親が子供の通帳と印鑑を管理していることが認められています。ただし、20歳を迎えても親が管理を続けていると、20歳前の贈与分も含めて名義貸しによる預金とみなされ、相続税対策が失敗となる可能性があります。また、生活費として親が途中で引きだしてしまうと、たとえ後でお金を戻したとしても、子供への贈与と認められず、相続税対策が失敗となりやすい事例です。
また、子供が女性の場合、結婚した後に旧姓のままにしておくと、子供の管理下にないとみなされがちです。相続税対策が失敗とならないように、結婚した際には姓の変更をし、子供が独立した際には住所の変更を行なうなど、速やかに手続きをしておくと安心です。
相続税対策として、毎年110万円の贈与が失敗に終わらないようにするためには、受贈者による管理で、実際に銀行口座を使っているとみなされることが重要です。せっかくの相続税対策が失敗とならないように、通帳や印鑑の管理に気をつけましょう。