賃貸マンションを建てて失敗したケースの中には、そもそも立地に無理がある物件がみられます。建築会社の営業マンに相続税対策として賃貸マンションを建てることを勧められ、建ててみたら空室が埋まらず立ち行かないといったことも現実に起こっています。
■賃貸マンションに求められる立地条件
相続税対策のために自分の持っている土地に所有している賃貸マンションを建てることはよくある話ですが、賃貸需要のないエリアであれば、賃貸マンション経営は上手くいくはずがなく、失敗となりやすいです。賃貸マンションの空室率は、立地条件に大きく左右されます。また、無理のない家賃設定が重要です。建築会社が提案する事業計画書の家賃やその他諸経費をよくチェックしましょう。
都市部では、公共交通機関での都心部までの移動時間と、駅からの距離が重要です。最寄り駅からの距離が5~10分程度だと人気が高く、15分を超えると不利になります。スーパーやコンビニ、飲食店などの商業施設、銀行などの金融機関、病院や学校などが近くにあるか、周辺環境も大切なポイントです。ただし、郊外や地方では駅からの距離よりも、駐車場の有無や周辺環境が重視されることもあります。
■エリアに合わせた間取りに
賃貸マンション経営では、立地に合った間取りの物件を建てることも重要なポイントです。エリアによって住む人には、属性に偏りがみられます。通勤や通学に便利な立地では、単身者向けのワンルームあるいは1Lの間取りが向いています。通勤に便利なエリアで、深夜までやっているスーパーがあれば、DINKSに向きの間取りも需要が見込めます。駐車場付きマンションや、学校や公園、スーパーに近いエリアはファミリー層向きです。
賃貸需要があるエリアであっても、属性に合った間取りでなければ、賃貸経営は失敗する可能性があります。
■賃貸マンションの敷地条件とは
賃貸マンションを建てるには、ワンルームでは250~300㎡、ファミリータイプは350~600㎡以上の土地が外構や駐車場の設置を考慮すると望ましいです。ただし、エリアによっては戸数が40~50戸と多くし過ぎると、空室リスクが高まります。また、駐車場の有無とともに、車の出し入れがしやすい道幅等が重視されるエリアもありますので、賃貸人のニーズに合わせたものとしましょう。
相続税対策で賃貸マンションを建てて失敗しないように、賃貸マンションに向いた立地条件であるか見極めることが大切です。賃貸マンションには向かず、他の用途で活用することも難しければ、相続税の納付資金の確保のためなどに売却することも選択肢となります。