相続税対策として、賃貸マンション経営を始めて破綻するケースがありますが、そもそも事業収支計画書に問題があることがあります。事業収支を考えるうえで、注意したいポイントをまとめました。
■事業収支計画書の甘さが賃貸マンション経営破綻の原因
相続税対策で賃貸マンション経営をして、上手く行かずに手放し、相続税を軽減するどころか、財産を減らしてしまうというケースを耳にすることがあります。そうしたケースでは、建設業者の提示する事業収支計画書を鵜呑みにしていたことに起因することが多いようです。
建設業者では、賃貸マンションを建てさせることが目的ですので、事業収支計画書で家賃の見込みや修繕費用、管理費用などを適切にみていないことがあります。事業収支計画書は収支だけを見るのではなく、家賃収入の見込みや修繕費用、管理費用といった内容をチェックすることが大切です。
■家賃は築年数の経過により下落
家賃は、経年劣化や近隣に新築のアパートやマンションが建つ、学校が移転する、工場が撤退するといった周辺環境によって変わっていきます。一般的に家賃は10年で15%、20年で20%程度下落していく傾向にあります。また、空室リスクも加味して考えていく必要があります。事業収支計画書では、家賃収入が20年や30年の間、ほぼ変わらない数字となっていないか、空室リスクも反映されているか、チェックしましょう。
建設業者によっては、30年間一括借り上げをするサブリース契約を行なっていますが、家賃は2年ごとに改定される契約がほとんどです。家賃の金額を保証するものではありませんので注意が必要です。もし、完璧に保証するという内容でしたら、建築費が高い可能性がありますので、充分に比較検討を行ないましょう。
■収益物件としての維持に修繕費用は必要
賃貸マンションは適切なメンテナンスを行なえば、20年、30年経っても収益を得やすいです。長期修繕計画に基づいて、適切な修繕費用が盛り込まれているか確認する必要があります。
サブリース契約の場合には、メンテナンスを行なう建築会社が指定されることで、修繕費用が割高となることがあります。悪質なケースでは、事業収支計画書では修繕費用を抑えておきながら、実際には相場よりも高額な修繕費用が請求されることがあります。事業収支計画書とともに、契約内容についても確認することが大切です。
相続税対策で賃貸経営を始める場合でも、オーナーであるともに、経営者の立場となります。賃貸マンションの経営にあたっては、業者任せにせず、専門家に相談しながら自らも経営にあたる心構えが求められます。