相続税対策での賃貸マンション経営でローンは本当は有利はうそ?

相続税対策での賃貸マンション経営でローンは本当は有利はうそ?

「相続税対策目的でローンを組んで賃貸マンションを建てると得」といわれることもありますが、本当にローンを組むべきなのでしょうか。相続税対策で賃貸マンションを建てるときのローンの考え方についてまとめました。

■手持ちの資金に余裕があればローンは組まない

ローンを組んで賃貸マンションを建てると、どのようなケースでも相続税の軽減効果があるという勘違いが見受けられます。賃貸マンションを建てることで、自分の土地の評価が貸家建付地となり、相続税の評価を下げることはできます。ローンを組むと負債ができますが、手持ちの現金を使っても現金資産が減りますので、同じことです。むしろ、金利負担の分、ローンを組むことはマイナスになります。

相続税対策でローンを組んで賃貸マンションを建てると相続税の支払いが0になるのは、全ての資産の相続税の評価額の合計よりも、借入と相続税の控除額が上回るときです。手持ちの資金がある場合は、評価額を下げる効果のある不動産を現金とローンどのくらいの割合にするか、検討するとよいでしょう。相続税対策でローンを組む必要はあるのか控除額、評価額の試算表を作成して、専門家にみてもらいましょう。

■自己資金が少ないときはローンも有効

賃貸マンションを建てる資金に余裕がないとき、賃貸マンションの建設費で自己資金を使ってしまうと、遺族が相続税の支払いに困る可能性があります。また、急に大きな出費を要する事態となった場合に、借入が難しい、あるいは、高い金利でしかお金が借りられない可能性があります。不動産のローンは比較的低金利ですので、自己資金をプールしつつ、賃貸マンションを建てて相続税対策をすることが得策です。

■資金に余裕ができたら繰り上げ返済を

ローンを組んでいると借入金利は経費として計上ができますので、借入をすることは所得税の軽減効果があります。金利負担と所得税の軽減のメリットを比較すると、所得税の軽減効果の方が大きいケースもみられます。しかし、預貯金の金利も低く、預入をするメリットも薄いため、賃貸経営の健全性や子孫に借金をなるべく残さないという観点から考えると、資金に余裕ができたらローンを繰り上げ返済していくことが望ましいでしょう。

相続税対策で賃貸マンションを建てるときに、ローンを借り入れることにはリスクも伴います。相続人となる妻や子供がローンに難色を示すこともありますので、事前に理解を得ておくことが望ましいでしょう。