相続税対策として借金をして賃貸マンションを建てることに、リスクはないのでしょうか。相続対策で賃貸マンションを建てるうえで、注意したいポイントをまとめてみました。
■立地は大丈夫?一番怖いリスクは空室
賃貸マンションを建てると、貸家建付地として15~18%程度の相続税の評価減を受けられますが、賃貸割合にも左右されます。空室が多いと賃貸割合が下がるため、想定していたほどの評価減が受けられない可能性があります。ただし、部屋数にもよりますが、1~2部屋程度空室があっても大きくは影響しません。
また、空室によって賃料収入が減ると借金の返済が思うように進まないケースもあります。賃貸マンションの経営は立地による部分が大きいです。借金をして賃貸経営をすることに無理はないか、同業者や不動産の専門家などに相談することが大切です。
■適切なメンテナンスには修繕費用が必要
賃貸マンションの修繕費用は、室内の原状回復に係る部分は賃借人の負担ですが、それ以外はオーナーの負担です。賃貸マンションを建てる際には、長期修繕計画を立てて、外装の塗り替えや鉄部の塗装など修繕工事を適切な時期に適切内容で行えるように修繕費を準備しておくことが大切です。適切なメンテナンスを行なうことで、長期間収益物件として活用できます。賃貸マンションを建てる前に、事業収支計画には修繕費用を盛り込んだうえで、収益が出るか見極める必要があります。
■賃貸マンションの建設で遺産分割が難しくなるケースも
相続税対策で土地に賃貸マンションを建てた結果、相続の際に遺産分割がしにくくなるという問題もあります。更地の場合は、分筆して単独名義で登記することも可能です。賃貸マンションを建てて、他に相続できる財産がない場合、代償金を支払える人がいなければ、共有名義とするか、売却するかといった選択肢になります。ただし、事業規模によっては法人化して、株式で遺産分割を行なう方法もあります。
相続税対策として、所有する土地に借り入れをして賃貸マンションを建てることは、相続税の軽減効果はありますが、リスクも伴います。不動産や税金のプロに相談しながら、事業収支計画をきちんと立てて、収支に問題がないか把握したうえで進めましょう。