アパートは「家賃保証」があれば大丈夫?不動産の相続税対策は経営者の視点で

アパートは「家賃保証」があれば大丈夫?不動産の相続税対策は経営者の視点で

不動産での相続税対策で、「家賃保証」があるからとアパートを建てるケースがみられます。しかし、業者任せの不動産を使った相続税対策には大きなリスクがあります。

■保証される家賃は同額ではない

不動産の有効活用での相続税対策として、アパート経営を勧める不動産業者には、「家賃保証」を謳う業者が目立ちます。

家賃が保証するなら安心と思いたいところですが、家賃の設定は2年更新としているケースが大半です。当初の家賃が保証されることは少なく、築年数とともに家賃は下がっていきます。入居率が下がれば、契約時に口頭ではすぐに家賃が下がることはないという営業担当者の説明であっても、様々な理由を挙げてきます。例えば、周辺にアパートが増えた、近くの工場や大学が移転したなどの理由が想定されます。しかも、家賃の値下げを拒めば、家賃保証の契約は解除されるのです。

家賃が早期に下がれば、当然、事業収支計画書通りの収益は上がらず、収益の悪化要因となります。

■収益率を下げる「サブリース契約」

家賃保証といわれる形態の多くは、保証会社とサブリース契約を結ぶものです。一棟丸ごと保証会社が借り上げて、家賃の90%程度をオーナーに支払う形になります。保証が開始されるまでの免責期間中は、募集時期により2~3カ月、保証会社が家賃を得てもオーナーには支払われません。

不動産での相続税対策として、これまでアパート経営をしてこなかった人にとっては、家賃保証がつき、入居者の募集や家賃の督促、クレーム対応といった管理も任せられることは魅力に映るかもしれません。

しかし、収益面では家賃が保証されることのメリットは小さく、利益を得やすい新築時の収入が減る、空室が目立ったら家賃設定を下げられるというデメリットの方が大きいです。また、修繕工事も建築会社の指定業者行なうことが決められているケースが多く、割高な修繕費用も収益を悪化させる要因になります。

アパートの管理を不動産会社に依頼する方法もあります。不動産業者任せにして、ノウハウを身につけずに子孫にアパートを残すことは、相続税対策としてむしろマイナスです。相続税対策での不動産の有効活用では、不動産や税金のプロに相談して、自らアパート経営を行なっていく方が、むしろリスクは小さいといえるでしょう。