相続税対策で不動産を「売却」か、「物納」どう判断する?

相続税対策で不動産を「売却」か、「物納」どう判断する?

相続した遺産の大半を不動産が占める場合、相続税を支払うための現金を保有していなければ、不動産を売却するか、物納するかの選択に迫られます。売却と物納はどちらが得なのでしょうか。

■「物納」するべきケースとは

相続税が物納できるのは、相続税を金銭で納付することが困難な場合で、物納する土地として適格と税務署の許可を得た場合等の条件があります。

不動産を物納する場合、土地の評価額は路線価での算定です。一般的には、路線価は市場価格の8割程度ですが、不成形な土地や高低差のある土地の場合には、路線価が市場価格を上回るケースもあります。その反対に、路線価が市場価格よりも低い場合は立地など条件が劣る場合があり、相続税の納期限までに売却できないことも想定されます。相続税は延納することもできますが、利子税の支払いが生じますので、納付スケジュールを立てることが大切です。

相続税対策として不動産の売却を考えていても、路線価格が市場価格と同等以下のとき、あるいは、流動性のない土地の場合は物納が向いています。

■不動産の「売却」と「物納」どちらが得?

では、相続税対策としての不動産の売却と物納では、どちらが得となるのか、例を挙げてみていきましょう。

相続税対策として不動産を売却した場合にも、譲渡所得税が掛かります。譲渡所得は売却代金から取得費と譲渡費用を引いたものです。例えば、先祖代々の土地を売却した場合など取得費がわからない場合には、原則として売却代金の5%で計算します。

5000万円で土地を売却し、取得費を250万円、仲介手数料として譲渡費用を160万円と仮定すると、譲渡所得は4590万円です。譲渡所得税は5年以上の長期の所有では20%なので918万円で、手元に残るのは3922万円です。路線価での評価額が3922万円以下であれば売却が得ですし、評価額が3922万円以上であれば、物納した方が得ということになります。

ただし、自宅不動産の売却では3000万円の特別控除が適用されます。その場合、売却代金から取得費と譲渡費用を引いた4590万円から3000万円も控除されますので、譲渡所得税が20%の場合、318万円になります。手元に残るお金は4522万円ですので、多くのケースで売却が有利です。

実際には、相続税対策として売却した土地に対する相続税が、譲渡所得の取得費に加算できますので、手元に残るお金は少し増えます。譲渡所得税を考慮に入れて、不動産の売却か物納かの判断をしましょう。